ちょっと雑感ポスト。
趣味の釣りの世界をPRやマーケティング目線で常日頃から見てしまっている。自分の仕事領域がそういう関連なので染みついてしまっている。最近Twitterで騒がれているアングラーズマイスターの賛否の件、一旦は落ち着いた感じだけど、自分の目線で勝手にnote的にまとめて見たいと思う。
端的にいうと今回のは「アングラーズマイスター」という崇高な感じのネーミングによる発信側と受け手側の認識の相違というのが大きいと思う。
マイスターって本来ドイツで生まれたモノづくりの職人につけられる称号で、職人のレベルのピラミッドがあるとするとその頂点の数名の人だけが与えられる稀有な称号だ。家具や時計などのマイスターになるには30年以上かかることもザラだったりする世界だ。
そんな本当は特別な名前、すごく日本的ではあるけど日本では割とカジュアルにあちこちで使われている。それでも「その道を極めた人」という認識は皆が持っていると思う。
アングラーズは自分達のPRパートナーの名前に「マイスター」を選んだ。
皆、名前から想像するように審査も厳しく高いレベルの人だけが与えられる称号かと思ってたし、通常は二次審査まで行われていたようだ。
それが今回「総選挙」というカタチでTwitterのリツイートが多い人気投票でも与えられる称号になってしまった。
「あれ?釣りウマな人だけがなれるんじゃないの??」と。
しかも前澤ファンドによる資金から120万円という高額なお金もあたえられるとなると、見る側はそれぞれ複雑な思いになった。(ブルーブルー村岡さんが言うような「嫉妬」もこのあたりからだろう)
ここで再確認しておきたいのはアングラーズはアプリの使用者シェアが増える事で、広告費やPR案件が入って収入を得るメディアビジネスだ。また、釣り人の使っている道具、行動なども皆がアプリで勝手に入力してくれる。そしてそれはビッグデータ化されてそれもビジネスに利用される。
はっきり言えば使用者が増えれば増えるほど、儲かる。
なので、PRパートナーによって、効果的に宣伝してくれる人が増え、自社アプリの使用者シェアが上がれば、誰がパートナーでも良いわけだ。そもそもこのあたりの認識が薄い釣り人が多いので、Twitterでややこしいことになっているのだけど。
でも、それも企業側の意図でもあったりすると思う。
話題性や応募を増やすために一般の釣り人から見てちょっと誇れる感じに思われるようなマイスターという言葉にした事で、みんながなりたいと思わせて話題にする戦略的なネーミングだったんだと思う。本当はPR効果に関する影響力があれば釣りが下手でもなんでもいいんだけど、憧れの地位にすることでそれを一見わからなくしてしまう効果がこのあたりにあると思う。
そして、マイスターの応募が一定数でてくると、単なる真剣な釣りウマだけではない、エンジョイ勢でも影響力のある人を取り込みたい、と企業側は思う。その結果が、今回の総選挙となったのだろう。Twitterでリツイートの多い人は影響力がある=総選挙というカタチにしましょう。話題になるし、今後のPR効果も見込める。
これは実に素直なロジックであり、なおかつ秀逸なPR戦略だったと思う。僕も企画する側だったら考える提案だし、多少騒がれそうでも行っちゃおうとなる。
ブルーブルーびいきだという人が居る件。
ブルーブルーのテスターが多いというのは、PR効果から選ばれているというのは正しいと思ってる。また、村岡さんはアドバイザーであって、運営とは別。なのに運営に言うべき文句を氏に言うのは筋違いだろう。ただ、ちょうど第一弾のコラボルアーがスネコンになったりで、ブルーブルーびいき、と思う人が出てくる与件が揃ってしまった。逆に考えると、他の企業やそのテスターが関わらないのは、応募しないようにとお達しでもあったのだろうか。(もしもあったとすれば、その理由はブルーブルー色が強いという一般認識があるためかもしれない)
あと、高橋くんがマイスターになったら貰った120万円分をプレゼントにすると言ってますね。これも今回の賛否になった大きな要因の1つ。運営側がどう判断するか。でも企業の損得を考えたら知名度がありすぎるので選ばない方がおかしいんですよね。 となると今後また賛否がありそうですね。
※村岡さんは非常に尊敬する経営者であり釣り人だが、嫉妬に関する発言は特に無くても良かったかなと思う。(開高さんのフレーズは僕も好き)運営は別ですよとか、自社テスターが影響力から選ばれているなどの見えにくい理由を淡々と述べるべきだったでしょう。自分は冷静といいつつも、つい熱いところが出ちゃうのは、良くも悪くも経営者あるあるだと思います。アンチにこそ、冷静にいて欲しいところ。
・・ということで、アングラーズマイスター、
個人的には「アングラーズパートナー」とか「アングラーズフレンド」とかだったらもう少し認識の相違は減ったのかもしれない。でもその場合は、最初のマイスターへの応募がここまで増やせたのか?というと、少なかったかもしれない。
趣味とビジネスが混ざり合うとなかなかややこしいですね。つまらないテスターのSNSは公にしたステルスマーケティングみたいになってくるし。SNSが出来てからそういう緩衝がはっきり見えやすい形(そしてそれが残る)になっているのが今の時代なんでしょうね。
結局、皆が良くも悪くもワイワイやっていること自体が、アングラーズの宣伝効果になるし、僕もこうやってここに書いていることもアングラーズ側にとっては思うつぼなのかもしれないなあと思いながらおしまいにします。